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時速5cm

by 唐草 [2012/07/12]



 時速5cm。今日は、カタツムリよりも遅いこの速度に関する話だ。
 先日モニターがとどいて以来ぼくの部屋は、快適にWiiで遊べる環境を構築するための模様替えモード。家具の様々な配置を試すべく、中身の抜かれた棚が不自然な位置に転がっていたり、無造作に積み上げられた本の山が床を占領している。引っ越し直後のようなありさまだ。
 模様替えをするならぜひ動かしたいものがある。今回の目的とは関係の無い位置にある本棚を動かしたい。それもあと10cmだけ。
 部屋を見守るように鎮座する本棚。数百冊の本が収納されていて、ぼくがパズルのように本を収めていくので日々収納密度は上がっていく。とてもじゃないけれど、動かせる重さではない。
 そんな訳でこの部屋はずっと前から -20年ぐらい前から- 本棚を中心に家具を配置してきた。ぼくのベッドが現在の位置にあるのは、奇跡と呼んで差し支えのない幸運の結果。本棚脇のスペースとベッドの幅がほぼ同じだったのだ。
 パズルのピースが合わさるように本棚の横にすっぽりと収まったベッド。余裕は本当に無い。
 この奇跡の一致が長らく面倒を引き起こしていた。隙間がないので簡単にはシーツを挟めないのだ。ベッドを力いっぱい押して強引に隙間を作らないとシーツを敷くことができない。
 そんな状況にはもう疲れた。今日こそ本棚を動かしてやる。
 地震対策のつっかえ棒を外して、脇から全力で押してみる。もとより動か無いだろうと思っていたが、本当にびくともしなかった。
 そこで、1段ずつ本を抜いては押すという力仕事を繰り返した(なお、抜いた本は本棚に並んでいたとおりに置き、場所をラベルして管理。こうしないと、もう一度パズルを解くハメになる)。
 画集などの重い本が入った段を抜いてもびくともしない。マンガが2重に収納されている棚を空にしても動かない。2つの段に入っていたすべての小説を動かしたけれども、なんの手応えもない。本棚が動く前に体を支えている壁が抜けそうな感じがする。
 結局、重い本が収まった段をすべて空にするまで本棚は動くことは無かった。動き始めたとき本棚は半分以上が空になっていた。
 10cm移動してシーツを敷きやすい幅を確保。
 ここまでで1時間半。30分かけて抜いた本を元に戻す。
 計2時間で本棚が10cm動きましたとさ。