by 唐草 [2016/06/19]
耳栓が床に落ちていた。確かに机の上に置いたあった耳栓が床に落ちている。耳に入れるスポンジ部分を触ってみると、わずかに湿っている。
犯人が分かったぞ。
猫だ!猫がぼくの耳栓でじゃれて遊んだに違いない。この湿り気は、猫の唾液だ。
いくら愛猫家だといっても、猫の唾液で汚れたものを喜んで自分の耳に突っ込む趣味はない。
よく洗おう。
水道の水でスポンジ部分をギュウギュウ押しながら丁寧に洗った。これで浸透していた唾液も流れたことだろう。
ところが、耳栓の様子がどうもおかしい。
スポンジタイプの耳栓は、粘土のように指で押しつぶして細くしてから耳に入れる。しばらくすると自然に元の形に戻るので、完璧に耳の形にフィットするの。
普段は、簡単に押しつぶせるし、数秒かけてゆっくり元の形に戻る。
でも、今ぼくの手の中にある洗いたての耳栓のスポンジは、台所用スポンジのように押しても潰れない。指を離した瞬間に元の形に戻ってしまう。これでは、耳の奥まで入れられない。
この耳栓って、洗っちゃいけない商品だったの?
不安に思うこと数十分。
完全に湿り気が取れたら、元の粘土のような状態に戻った。
濡れているとダメなのか。なんとも不思議なスポンジだ。