by 唐草 [2014/02/08]
「20年ぶりの大雪になる可能性がある」
前日にその言葉を聞いたときは、まったく信じていなかった。でも、結果はその通りとなった。
降っている雪を見た時点で、もうこの雪がいつもの雪でないことはすぐに分かった。
東京の雪というのは、水っぽく重い雪だ。降っている粒も大きく、何かの上に舞い降りても溶けたかき氷のようにべたっとへばり付いているのが普通だ。でも、今日の雪は違った。昔スキーに行ったときに見た雪にそっくりだった。細かくて乾いた感じがする。地面に落ちても溶けずに残っている。こういう雪を粉雪というのだろう。
こんな雪、東京じゃ見たことが無い。
また、風が強かった。それも北風。
細かい雪は風にあおられ複雑に舞っていた。塀の角なんかには吹きだまりもできていた。舞い上げられた粉雪は視界を奪い、ちょっとした吹雪のようなありさまになっていた。とても自宅の窓から外を眺めているという感じがしない。どこか雪国へ旅行へ来たのかのような錯覚に駆られる。
風に舞う粉雪は、左右に不規則に動くだけではない。時に重力に逆らい上へと舞い上がることもある。また、手前と奥で風向きが違うのか、様々な方向へと雪が舞っている。
その光景を見ていて、ぼくはあるものを思い出した。
スーパーファミコン版の初代『かまいたちの夜』だ。
真冬のペンションが舞台の推理ゲーム。度々吹雪のシーンが出てくる。ゲーム内で舞っていた吹雪の動きと、今目の前で舞っている雪の動きは完全に一致して見えた。ぼくにとって吹雪の原風景は、『かまいたちの夜』の世界にあるようだ。