by 唐草 [2014/02/13]
さて、昨日から読んでるSF小説は、古典的SFの一つとも言われている『夏への扉』。
猫が描かれたあいらしい表紙が目を惹く一冊だ。
この表紙とあまりSFっぽくないタイトルのせいで、ぼくは長らくこの本を読まないでいた。勝手に現代物の小説だと思い込んで手をつけないでいた。ところが、先日ネットでSFの名作として『夏への扉』が紹介されていた。
それを見たぼくの驚きようと言ったら。
そんな経緯で読み始めた一冊だ。猫とSFが好きなら絶対に読んでおくべき作品だろう。
ちょっと内容について言及したいので、以下ネタバレ注意。
この本の舞台となるのは、1970年と2000年。
執筆されたタイミングだと1970年でさえ未来であった。もちろん古典SFのセオリー通り核戦争が起きた後の未来である。2000年に至っては、もう遠い未来である。
主人公は1970年に掃除機ベースのお掃除ロボットを開発して成功した技術者。部屋の中をくまなく掃除をして電気が切れると所定の位置に戻るという設定だ。あれ、この設定ってどこかで聞いたことがある。お掃除ロボットの『ルンバ』そのものでは無いか。
作品が発表された1957年の感覚だと13年後には、お掃除ロボットが誕生していそうだったのだろうか?
実際ルンバが商業的に軌道に乗ったのは、2002年のこと。1957年の空想が、現実になるまでには実に45年もの時間を必要としてしまった計算になる。
確かに空想よりも時間がかかってしまったかもしれない。でも、ちゃんと実現した。そう思って読むと感慨深いものがある。
それにしても、お掃除ロボット+ネコという21世紀を見てきたのではないかと思える見事な組み合わせには脱帽だ。(※作品中でネコが掃除ロボットに乗るシーンはありません。)