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未来に乗ろう

by 唐草 [2024/04/26]



 週一で利用するバス路線に水素で動く燃料電池車(以下水素バス)が導入されている。導入の経緯は知らないが、開発元のトヨタが裏で手を引いているなんて噂が囁かれている。公共交通機関での運用実績となればトヨタにとって誇るべき導入事例になるだろうし、バス会社にしてみれば安価に新車を導入できるうえに環境への意識が高いことをアピールできる。どちらにとっても美味しい話に聞こえるので、真偽不明な噂が流れているのだろう。
 個人的には水素燃料に期待していない。それは水素を作るために電気を使うからだ。水素供給の事業計画に目を通すと「水を電気分解して水素を作る」と書かれていることが多い。
 つまり、燃料を燃やして発電した電気で水素を作って、その水素を車で化学反応させて熱エネルギーを取り出している。始めからその燃料で車を走らせろと言いたくなるプロセスだ。もちろん蓄電という観点からすれば一度水素にするのは理にかなっている。
 それでも無駄に複雑なことをしている印象が拭えない。これがぼくがまだ水素自動車に懐疑的な理由だ。
 とは言え、車好きとして水素車の乗り心地は気になる。エンジンの駆動音や振動、そしてパワーが既存のディーゼルと比べてどう違うのかを体感したい。乗らないと分からないことは多くある。それに新しい発動機構という事実が未来の到来を感じさせる。
 だから、ぼく個人の燃料電池への期待とは関係なく未来を体験するために水素バスに乗りたいと思っている。
 ところが、その願いはいまだに叶っていない。そして、これからも叶いそうにない。
 水素バスは2両しか導入されていないそうだ。だから、一日中バス停に立っていても水素バスを見ることは少ない。それに現在の運行スケジュールが、ぼくの利用時間と全然重なっていない。いつも乗るバスの前後に走っているなら時間を時間をずらしてでも乗る。だが、水素バスはぼくの乗るバスの1時間ぐらい後の便らしいのでバスに合わせて行動したら致命的な遅刻になる。
 手の届く範囲に未来感あふれる乗り物があるというのに、軽い水素のようにぼくの手をすり抜けている。