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熱そうに見えるだけ

by 唐草 [2023/04/17]



 大学の前期授業が始まった。ぼくの担当授業は木曜日なので、あと数日は春休み気分でいられる。
 この春からマスク着用が緩和されたし、直近数週間のコロナ感染者数はかなり少ない。それでも授業中のマスク着用は事実上の継続のようだ。今となっては公衆の面前でマスクを外すほうが抵抗がある。きっとこのままなし崩し的にマスク着用は続いていくのだろう。
 周囲を見回してもマスク顔だらけなので、大きな変化は目に見えない。それでも、ぼくの中ではコロナ禍は過ぎ去ったものという印象がある。楽観的だと自覚しているが、第9波は来ないと信じている。
 なので、今期はコロナ禍以前の感覚で授業に臨めると考えていた。だが、新たな脅威が差し迫っていた。
 AIだ。
 ぼくはAIを活用しての勉強に賛成だ。だが、利用の加減をコントロールできるかに自信が持てない。なので、使ってほしいけど、控えてほしいというジレンマに陥っている。
 ぼくの担当授業では電子書籍を企画制作する。レポートを書く授業ほどAIの影響はないかもしれないが、それでも存在を無視できない。
 授業は学生一人ひとりが電子書籍の企画書を書くところから始まる。例年、この企画書パートは、要件と仕様を示しているにも関わらず散々な結果になる。それもそのはず、おそらく人生で初めての企画書だからだ。
 企画書の課題に求められているのは、単にフォーマットに則った文章を書くスキルではない。作りたいという自分自身の熱量を他人に示せるかを問うている。なので、四苦八苦しながら自分自身と向き合うように仕向けてある。 
 AIを使えば企画書なんて簡単にできる。AI産のクオリティーの高い企画書を見たぼくは、「よくできている」と感心するだろう。
 アウトプットだけなら問題ないが、その中身を学生自身が十分に把握できるのだろうか?熱そうに見えるだけで、本当は熱が籠もっていないのでは意味がない。
 口が裂けても「AIを使うな」とは言いたくない。どう学生に伝えれば効果的な使い方をしてもらえるのだろうか?ぼく自身も分かっていないし、これをAIに聞いてみた回答も信用できない。