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こう使え

by 唐草 [2023/04/27]



 先週、ぼくが担当する授業の企画書制作課題で学生にAIをどう使わせるか悩んでいると書いた。企画書の基本を身をもって理解するために一度は泥臭く学生自身だけの力で書くべきだと言うのが、ぼくの基本方針。
 だが、そんな親心は学生には伝わらず、ぼくは時代遅れなオッサンに映ることだろう。要領の良い学生なら躊躇なく生成AIの支援を借りるはず。
 これからのITリテラシーには、AIを使いこなす能力も含まれるようになるだろう。そう考えているので、学生に対して「AIを使うな」とは口が裂けても言いたくないとも書いた。
 そんな訳でぼくはAI使用を巡って板挟みになっていた。
 先日、京大の課題で専門用語の解説をAIに書かせろという課題が出たと話題になっていた。これは素晴らしい課題だ。
 AIが正しく理解できていない内容を正確に出力させるには、ユーザが必要な情報を渡さなくてはいけない。要するに前提条件として自分でレポートを書ける理解がなければならない。それに加えてAIを制御するスキルも求められる。
 これこそ高等教育でのAIの使い方。
 一方、企画書課題の専門性は低い。企画書を書く練習なのでAIに「〇〇の企画書作って」と投げるだけで済む。とは言え、AIに丸投げでは勉強にならない。だが、AIを使わないと将来の仕事のあり方を体験できない。
 どう説明するべきか?思い悩んだ末にぼくがとったのが次の方法。
 AIに企画書の書き方を尋ねる流れを授業中に実演したのだ。
 すると期待通りに「ターゲットの明示」「具体例を挙げる」「図版を用いる」というような基本を説明した上で、インタビューや歴史紹介などいくつかの案を挙げた。
 これに従えば及第点の課題が完成する素晴らしい提案だ。
 その上で、ぼくはAIの提案に足りない点を指摘した。インタビューならどんな意図での人選か、何を聞きたいのかを具体的に書く必要があると追加した。
 AIがあることを前提に、こんな風に活用してほしいというのを実践した。枠組みをAIに頼るのは賢いやり方。でも、AIが作った立派な枠の中に何を入れるのかは自分次第。そんな姿勢が学生に伝わったといいな。