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様をつけろよ!

by 唐草 [2023/04/18]



 事務手続き上の確認と同意が必要だから同封した紙に署名捺印して送り返せと一方的な書類が届いた。内容の割に大仰な書式の紙切れの下の方に署名欄があり、「ここだけ書けば良い。他のところには触れるんじゃない」と言わんばかりに鉛筆で丸がつけてあった。大きな組織の事務処理っていつもこんな感じで上から目線だ。
 返信用の封筒も同封してある。既に部署名と担当者の名前も印刷してあるし、84円切手も貼ってある。書類の無愛想さに比べると、親切丁寧な対応だ。
 印刷された宛名の末尾は「〇〇課××担当△△宛」となっていた。組織の大きさを窺える長い宛名だ。
 この封筒にぼくがサインした紙を入れて封をして投函すれば事務処理は完了する。だが、その前に一手間加えなければならないのが、日本の手紙の面倒なマナーだ。
 印刷済みの宛名の末尾にある「宛」を2本線で消して、その脇に「様」や「御中」を書き加えるというヤツだ。「御中」なんてこのとき以外に書いた記憶がない。今回は担当者名まで印刷されているので「様」を書き加えた。「御中」よりは書きやすい。
 こんなことをしなくても手紙は届く。受け取った側だって敬称を書き直していないことにブチ切れて手紙を破り捨てることもないだろう。そう分かっていてもマナーを守るのはどうしてか?
 それは相手への敬意ではない。「マナーも知らないクソ野郎」だと思われたくないという保身的な見栄を張っているからだ。
 相手を気遣って返信用の宛名を書いておいてくれるのはありがたい。ならば、もう少し相手のことを慮ってくれないだろうか?
 流石に初めから末尾を「様」や「御中」にした宛名を印刷しておけとは言わない。それをすると自分自身に敬称をつけた妙な封筒を作ることになるし、クソみたいなマナーとは言え長年の伝統を破壊することになる。
 ぼくはもう少し穏健で折衷案的な提案をしたい。
 印刷の段階で宛名末尾の「宛」に2本線を引いて、その脇に「様」なり「御中」なりを書いておいてくれないだろうか?その際に敬称の部分だけ手書きフォントにしてくれると更に嬉しい。PCで作るんだから簡単にできるでしょ?