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灯りを消せ!

by 唐草 [2022/10/20]



 自室の照明をLEDライトに替えて変わったことが2つある。1つは先日書いたように光の色。赤いものを見た後に視線を外すと世界が緑色っぽく見える目の錯覚があるが、これの弱い版がずっと続いているような感じ。冷静に見れば全然緑色の光なんて無いにもかかわらず、前の照明の色のイメージとの対比で緑色っぽいような気がしているだけ。慣れそうでなかなか慣れない。
 そして、もう1つの変化は照明にリモコンがついたこと。
 これまで使っていた蛍光灯は、新しいものと同じでUFOをヒックリ返したようなよくある形のシーリングライトだった。見た目こそ古さを感じさせないが、中身はけっこう古かった。小さなグローランプはついていなかったが蛍光管は太かった。電気の点灯と消灯は、壁についたスイッチを押すか、照明から垂れ下がった紐を引くかのどちらかだった。
 紐を引いて段階的に消灯するのが面倒だったので、ぼくは部屋の入り口付近にある壁スイッチだけを使っていた。真っ暗な部屋に入るときは手探りでスイッチを探すのが、ぼくの日常だ。
 20年以上そんなことを繰り返していれば動作は体に馴染んでくる。部屋が真っ暗でも入口で手を伸ばせばスイッチを押すことができる。新たな照明を導入したことで長年続けてきた心眼と呼ぶにふさわしいスイッチ操作術もお役御免になると考えていた。リモコンがあれば部屋のどこからでも照明を意のままに操れるからだ。
 長年続けてきた習慣とは恐ろしいものだ。便利なリモコンがあるというのに無意識のうちに壁のスイッチを操作している。部屋の出入りの際に操作するときは、手を伸ばせば届く位置にスイッチがあるので自然と体が動くのは当然のこと。だが、それだけではない。寝る時に照明を消そうと思ってたときも自然に体が動く。
 ぼくにとってはどこにあるかわからないリモコンを探して手を弄るよりも、体を起こして数歩歩く方が自然な行動なのだろう。無意識のうちにロボットのように体が動く。
 そんな訳でリモコンを全然活用できずにいる。体に染み付いた習慣から脱するのは容易いことではない。たぶん一生このままなんだろうな。