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2012/04
     
       

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かまいたち

by 唐草 [2012/04/14]



 右手親指の第一関節の人差し指側の側面を何か鋭利なもので切ってしまっていた。いつ、どこで、どんなもので切ってしまったのかは、皆目見当がつかない。指がヒリヒリすることに気がついたら6mmぐらい切れていて血がにじんでいた。
 切り口をよく観察してみると、手のひら側から斜めに切れている。傷口の形状や痛み具合から類推すると紙で切った可能性が高いように思える。でも、手を切りそうな紙に触れた記憶はない。それに、この傷をつけるには不自然な角度で紙を握らなければならない。
 いったい何で手を切ったのか非常に気になる。なにせ、この傷を負うのは今年に入って2度目なのだから。
 前回指を切ったときも、今回とほとんど同じだった。傷の角度や深さも同じだし、いつどこで傷を負ったのかが分からない点も同じ。なにも分からないということと傷口が、完全に一致している。
 きっと無意識に行ってしまう動作の中で指を切っているのだろう。
 ぼくが手に触れるすべての物に対して鑑識課の専門家が行うように入念な科学調査をすれば、凶器は明らかになるだろう。きっと鋭く切られた薄い上皮が付着した何かが見つかるはずだ。もしかしたら血痕が検出されるかもしれない。とはいえ、そんなノウハウは持っていないし、なによりそんなことをしたら机のまわりが大混乱に陥ってしまうだろう。
 このままでは手を切った理由を解明するのは難しい。でも、分からぬまま放置しておくのも、すっきりしない。そんなとき古の人々は妖怪を持ち出し強引に納得していた。今回は、ぼくもこの伝統的な思考放棄術を使ってみようと思う。
 と言うわけで、部屋にかまいたち -それも15cmぐらいのミニサイズ- がいることにした。ちょっとかわいいかと思ったけれど、それってオオカマキリじゃない?そう考えるとかなりイヤだな。やっぱりちゃんと原因を探ることにしよう。