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2014/12
 
   
       

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モモヒキ

by 唐草 [2014/12/18]



 先日買ったスーツのおかげで、それ以前は思いもよらないもののありがたみを知ることとなった。
 ポイントは、ぼくがファストファッションの店で安スーツを買ったということだ。このスーツ、見た目こそはスーツなのだが、本当に見た目だけのスーツなのだ。安いのには、それ相応のからくりがある。
 ジャケットは、一応裏地も貼ってありそれなりの作りをしている。でも、ズボンはひどい。裏地もないし、夏でも履けるように恐ろしく薄い布で作られている。かろうじて下着が透けない程度の厚さしかない。見えないところや重要でない部分のコストをそいだ結果のお値段なのだ。
 普段ジーンズ中心のぼくにとって、このズボンの薄さは衝撃的だった。持っているズボン類の中で一番薄いように思える。夏用の麻布の短パンより薄いと思う。
 そんな薄いズボンをこの寒い季節に身につけるのは、苦行のようなもの。すぐにお腹が冷えてトイレに駆け込むことになるだろう。
 試着した段階でズボンの薄さに気がついていたぼくは、すぐに手を打った。
 スーツを買ったその足でユニクロに飛び込んで、ヒートテックのタイツを購入しておいたのだ。我ながらナイスな判断だった。
 ユニクロは男物もタイツと称して販売しているが、どうもこの名称には違和感がある。確かにタイツなのかもしれないが、正装時に和装をするぼくにとってこの手の履き物は股引(モモヒキ)というイメージしかない。タイツというとどうしても、コメディーに出てきそうな中世の王子様がはいているような外に露出するようなものを想像してしまう。
 名称のことは、どうでもいい。
 ヒートテックタイツの暖かさは確かなものがある。外を歩いたり、自転車に乗っているときはあまり効果を実感できなかった。ところが、キンキンに冷えた部屋(自室)で静かに作業をするときなどは全然違う。脚の冷えをほとんど感じないのだ。
 これはすごい。
 本来は、薄いスーツ用のズボンを身につける際の防寒着として買ったものだったが、今ではジーンズの時もチノバンのときもほぼ確実に身につけるようになってしまった。もう手放せそうにない。ズボンの下には、ピチピチのタイツが隠されているのだ。