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世界は狭い

by 唐草 [2012/06/16]



 土曜日だというのにお仕事の打ち合わせが入ってしまった。某大学の研究室からの依頼だ。
 一般的に大学は、学校であり勉学にいそしむ場所という認識だろう。ところが、ぼくにとっては職場という印象の方が強い。何の因果か、数年前まで主に補佐役とは言え非常勤講師みたいなことをしていたからだ。自分より年上の社会人相手に授業をするのは妙な感覚だったが、二十歳前後の親の金で大学に遊びに行っている連中と違ってみんなマジメで授業はスムーズに進められた。そんな蜜月も過去のこと。学内の派閥争いに巻き込まれぼくが属していた一派は大学を去ることになった。
 その時のコネが元になり、今回のお仕事が舞い込んできた。授業ではないが、教育関係のお仕事。ちょうどスケジュールに余裕があったので二つ返事で快諾した。その結果が、今日の打ち合わせだ。
 それにしても妙な巡り合わせだ。今日出向いた山の中にある某大学、実は受験の願書を提出している。しかも、以来のあった学部への願書だったはず。二浪を避けるための滑り止めだったので、最終的に試験を受けることは無かった。けれど、ぼくが他の大学でマークシートを塗り間違えていたり、試験中緊張のあまり「0」と「6」を書き間違えていたりしたら母校になっていた可能性もある大学なのだ。
 浅からぬ縁があると言えるだろう。
 打ち合わせで訪れた研究室にいったら気になる品があった。今インターフェイス界隈のメディア屋さんに注目されている機器だ。その機器には、サードパーティーのオプション機器が装着されていた。その機器は、ぼくが店長のまねごとをしている会社が輸入して販売している品だ。そういえば先日、この大学からの注文が来て複数台納入した。大学からの妙な注文だったので良く覚えている。
 もしかしたら、打ち合わせをしているぼくの横にある機器は、先日ぼくが発送したものかもしれない。
 そんな場所から依頼が来るとは、何かしら不思議な縁を感じてしまう。世界は思っている以上に狭いのかもしれない。