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白昼の雷

by 唐草 [2014/06/13]



 今日の天気は、実にエクストリームだった。
 昼前に電車に乗っていたのだけれども、久々に雨と晴れのくっきりとした境目を見ることができた。ぼくが見た晴れと雨の境は、ちょうど川の上。東側の土手は大雨で煙って見えているが、西側の土手は紫外線の強そうな日差しをギラギラと反射させていた。
 これだけでも十分に面白いものを見たと言えるが、今日はそれにとどまらなかった。
 生まれて初めて見たものがある。
 それが、青空の雷である。
 小説か何かで夏の青空に走る雷の描写を見たことがあった。鈍色というか金属を連想させるような色の描写だったように記憶している。
 なんとなくイメージはできる。青い空に水銀が細く流れるようなものを想像していた。でも、実際のところそれが現実に起こり得るものなのか、比喩なのかはよく分かっていなかった。
 そもそも晴れなのに雷が発生するのか?雷光が銀色に見えるのだろうか?どうもぼくの知っている雷のイメージにそぐわない描写だった。
 でも、実物を見た後だから言える。
 ぼくの読んだ描写は、事実だ。
 ふと空が光ったように見えた。強い光ではない。こんな日差しの強い日なので、トラックのアルミ色の荷台に光が反射しただけかと思った。でも、その場所を見てみると木のずっと上。飛行機も飛んでいない。
 空を見渡すと青空が広がっているし、腕にあたる日差しはジリジリするほどだ。
 銀色に空が光ったように見えたが、あれが青空の雷なのだろうか?でも、何かの反射を見間違えたようにしか見えなかった。
 きっと見間違いだろうという結論を出した10秒ぐらいあとになって、遠くから届いた角の取れた雷鳴が聞こえてきた。
 その音を聞いて確信した。あれは、青空の雷だったんだと。
 木の陰で良く見えたかったけれど、光が見えた方向には大きな積乱雲がそびえたっていた。雷が鳴っても不思議はない空模様だったようだ。